良い和傘の見分け方 |
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和傘にはいろいろな種類の物があります。 蛇の目傘系では羽二重傘、中張り蛇の目傘、無地の蛇の目傘、 番傘系では番傘、番奴、特殊な物では神楽の玉回しに使う傘、 小傘としては和日傘や踊り傘、 一般の用途ではない「さしかけ」や野点傘のような大傘 などですが、その和傘の組み立て作業のほとんどは職人の経験と勘によって造られています。 それぞれの職人の持つ技量によって傘の善し悪しが変わってきます。 そこで、選ぶときにはどの様な点に注意して選べばよいかを知っていると長く使える良い傘を手にすることができるでしょう。 骨のまっすぐな物を選びましょう。和傘の骨は組み立てて形を作るときに割った順番で並べられます。そして、その順番で轆轤(ろくろ)に糸で繋がれます。 この作業を「つなぎ」と呼びます。 紙を張る時にまっすぐに張らないと骨が曲がってしまうことが有ります。 骨と骨の間隔が揃っている物を選びましょう。開いたときに骨の間隔がばらばらだときれいに見えません。きれいに間隔をそろえ、骨をまっすぐに成るよう紙を張る事ができるかどうかは 張り師の腕次第です。 紙にシワの少ない物を選びましょう。たたみ込む行程で発生しますが、うまく張られている傘ならこのしわも少なくきれいな仕上がり。骨がゆがんだりまっすぐ張られていない傘は、このひずみの部分でもシワが発生します。 和紙という物は折ったり曲げたりする事にたいして非常に強い特性がありますが、やはり紙には負担となっています。 古くなってくると穴が開きやすいので注意です。 できるなら骨と骨のちょうど中間をすーっと一本筋が入っているという状態が理想です。 しっかり締まっている物を選びましょう紙張りの終えた傘はタタミと呼ばれる行程に入ります。和傘の特徴である、骨と骨の間に 内に向かって紙を折り込み小さく絞り込む様にして 紙に形をつける行程です。 コロシのしっかりできていない傘は、たたんでもだらしなく開いたり、紙がすぐ伸びてはみ出したりと最悪です。 手元の籐巻きのゆるみ蛇の目傘の場合、手元には籐かビニールの糸が使用されています。これが緩んでいると 差しているときも少し気持ちが悪いですね。 中村屋傘店の蛇の目傘はビニールではなく籐を巻いて仕上げられています。 価格は若干高くなりますが、ゆるみにくく、手にしたときにも滑りにくいので 疲れを軽減します。高級感ではなく実用性を重視した結果本籐巻きになりました。 漆がきれいにかかっている事を確認しましょう。蛇の目傘、番傘、和日傘など、骨の表面には漆のかけられている物があります。漆の掛け方が悪いと表面に細かい泡の様なざらつきが出て見栄えが悪いです。 中置き紙は有りますか?(インターネット販売で写真しか見られないという場合)まず、新品で価格が1万円以下の蛇の目傘は、中国製の可能性があります。 最近の和傘は、中国製でも日本の物と同じように小骨を割って親骨に挟んである物があります。 この場合は、紙質や原価が安いので7000円前後で販売することが可能です。 もっと安い傘の場合には、骨の組み方が違いますので、中置き紙が必要有りません。 岐阜和傘と中国産和傘の違いをご覧ください。 骨数を数えてみましょう。和傘の骨は洋傘の骨の数に比べると遙かに多い骨が使用されています。岐阜和傘の標準的な骨数は、 蛇の目傘 44本・46本 (紙無地・中張り蛇の目傘など) 羽二重傘 48本 番傘 48本 という数です。 一部 さらに高価な傘の場合には50本以上の骨を使用する物も有ります。 昔は蛇の目でも48本くらいの骨数が当たり前のように有りましたが、 近年では少なくなってしまいました。 骨の数が多いということは、すべての行程において手数が増えるため難易度も増しますので、 骨の多い傘を造るところにはそれなりの腕と技術が有るという証でも有ります。 岐阜和傘以外でもインターネット販売の場合、写真に併せて骨数が記載されている場合がありますが、 必ず写真の骨数と記載されている骨の数が同じかどうか数えて確認しましょう。 もし数に違いが有れば、傘自体が違うのか、仕様が変わったかどちらだと思われます。 それが生産業者の運営するサイトで有る場合には、傘骨は自社生産ではなく岐阜や中国から輸入した物を使用している事もありますので、そのサイトから購入する場合には骨の生産が自社の物か外から仕入れた物かを確認することが必要です。 (そのサイトが自身の骨を使用するかどうかという問題ではなく、それを正しく公表できるかどうか が責任と信頼につながりますので、責任を持って生産しているところから購入したいですよね。最近の食品偽装問題を見ると、つくづくそれを感じます。) 適正価格ですか?インターネットでは、羽二重傘で3万円以上の製品も販売されている場合もありますが、その場合には、最低でも48本以上の骨数の物を選びましょう。 44本骨の羽二重傘は、普及品の紙蛇の目傘と同じ骨ですので、現状で3万円超えは高すぎます。 和傘は、手作りですので、大量に生産することができる物ではありません。 良い物を造るためには手間と暇がかかりますので、当然コストもかかります。 ただし、高ければ良いという判断はできません。 それなりの腕を持った職人が責任を持って生産、販売をしているかどうか、 これが価格に反映されていなければ 適正価格とはいえないでしょう。 形だけ和傘の姿をしているけれど、理にかなった作り方をしなければ高いだけの物ですので、 お客様のための身ならず、生造者のためにもなりませんよね。 正しい目で良い和傘をお選びください。 |
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