日本製の和傘と中国製の和傘の見分け方

たとえば、人から和傘を差し出されたとします。
これが日本製か中国製か気になったときにはどこを見るとすぐ判別出来るでしょうか。

答えは頭ロクロの内側です。
ロクロの中心部が外周よりが彫り込まれているのは日本製、彫り込まれずに切りっぱなしなのは中国製だとみれば良いです。
蛇の目傘、番傘、踊りがさ、野点傘など和傘にもいろいろな種類が有り日本製と区別がしにくい物も増えてきていますが、今のところここだけは間違いなく見分ける事の出来るポイントの一つとなっています。覚えておくと自慢出来ます。
(写真は左が日本製 右が中国製です)

日本製和傘の頭ロクロ 内側中国製ロクロ の内側

ここからは詳しい解説

チョット面倒な説明や同じ単語が繰り返し出てくるので面倒な方は読み飛ばして下さい。
でもなんでってツッ込まれると困るのでそんな場合には
中国製には日本の加工技術が無いから穴の開け方が違うのです。だからロクロの形も違うんだよ~って答えればOkです。

一昔前まででは中国製の和傘は親骨と小骨のつなぎ部分を見れば簡単に区別することが出来ました。
日本製は小骨(親骨を支える短い骨)の先端が突き割られていてそれを親骨に挟んで繋いでいます。
対して中国製は親骨の真ん中に溝を突いてそこに小骨を差し込んで繋ぎます。
(写真は左が突き割りタイプ 右が溝タイプです)
繋ぎ 月割りタイプ繋ぎ 溝タイプ

価格の安い中国製などは今でもそうやって作られていますが、最近ではこの部分が日本で作られている和傘と同じ様な物が出てきています。
価格も八千円前後となかなかに良いお値段しますので、日本製かと思ってしまいます。
(尤も日本で作られている和傘は高いと思われがちですがその手間や作業の難度から見るとむしろ安すぎる位なのですが。)

たいていの人には日本製も中国製も関係ないのかもしれませんが、岐阜の和傘の販売と製造に関わる者としてはその違い、
やはり気になるし知っていただきたい事柄です。

日本製の和傘は骨を一本ずつ繋いでいます。
普通に真横に穴を開けても骨を一本ずつ独立して繋ぐことが出来ません。
そのための工夫として穴を斜めに開ける事で解決しています。
ただ、斜めに穴を開けるだけでは繋ぎが出来ません。
なぜなら開けた先の隣の山にも連続して穴が開いていて針を通しても一本ずつに糸を抜くことが出来ないからです。
そこで延長部分の隣の穴を削り落として繋ぎの穴を独立させるのです。
ロクロの削り込みはそのために必要な加工なのです。
日本製のロクロにはこうしたとても精密な加工精度と技術が注がれているのです。

日本製の和傘のロクロ カットモデル

その加工技術は中国には有りません。
だから、まっすぐ立てた傘に対して水平方向に溝を何本かをまとめて真横に穴を開けています。
これは これで繋ぎをする時に一本ずつ出来ないためとても面倒なのですが、削り込む必要が無くシンプルで簡単に作ることが出来るのです。

中国製のロクロのカットモデル

切りっぱなしのザクザクな仕上がりの中国製に対して日本製の和傘は仕上がりも綺麗なのですがそれには理由が有ります。決して仕上がりを綺麗に見せるために一手間掛けて居るという理由では無く、必要な加工をして結果的に綺麗に仕上がって見えるということ、これが機能美というものなのですね。



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